第53章メディカルステークス

湯気が浴室に立ちこめるなか、アンナは不意に踏み込み、浴槽の中で無防備な姿をさらしているウィリアムと鉢合わせた。ウィリアムの表情が一瞬だけ強張ったが、すぐに平静を取り戻す。

気まずそうにする彼を見て、アンナの胸にいたずら心がむくむくと湧いた。彼女は距離を詰め、からかうようでいて艶のある笑みを浮かべる。

「何をそんなに恥ずかしがってるの? 今さら見慣れないものでもないでしょ」彼女はさらに一歩近づいた。「薬草の湯は血の巡りを促すの。血管が収縮すると、かなり痛むこともあるけど……どう? 耐えられる?」

ウィリアムは体の奥から熱が広がっていくのを感じた。薬草の成分が筋肉の深いところまで染み込み、ひ...

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